1新田真剣佑

2021年4月7日水曜日

寝れないときによむ小説

政府の急な発表に世間が驚いてからもうすぐ半年。

「日本独自の単位として”新田真剣佑”を用いる」という発表に最初は日本中が耳を疑った。


お昼の15時、普段ならコロナの感染者数が報じられることを身構えていたところでの、この第一報はニュース速報でも盛んに表示され、あっけにとられた宮根誠司の顔も見られた。

当初発表で、具体的には長さを表す単位としての利用が考えられており、今有識者を含めて最終調整に入っているということだった。


号外が舞い踊り、なぜ新田真剣佑なのか、なぜ阿部寛じゃないのか、なぜ二階堂ふみじゃないのか、という有識者からの反発。

果ては苗字を「新田」とする新田性の人たちから子供が学校でいじめられかねない、早急に法案の撤回を求める事態にまで発展した。


しかし近頃の野党の頼りなさ、嫌だけど与党に任せるしかないという、世論の盤石ぶりから、政府は強固な姿勢を崩さず、ついには新田真剣佑新法が可決。日本の単位として使われることが正式に決定したのだった。


令和4年度からの学習指導要領にもすでに盛り込まれ、来年度分の教科書のすり直しが進められている。

1新田真剣佑と表記するのが正式な表記方法となるが、数学などで用いる際には簡略化が認められており、1am(arata makkennyu)とする表記も認められる。

新田真剣佑の身長がそのまま1amとなり、25mプールは14.43am。少々座りの悪い値となるが反対に42.195kmのフルマラソンが21kamピッタリになるのはさすがといったところだろう。

また、なによりもっとも長さとして親しみ深い身長をわかりやすく表示できるようになったのが大きい。0.9amといえば新田真剣佑の0.9倍、と誰もが想像しやすくなった。

マッチングアプリなどデジタルでの出会いが増えた今これは大きなメリットとなる…はずだった。


最初は驚愕したものの、日本国民の事なかれ主義のなせる業か、徐々に1新田真剣佑を好意的に解釈してきている最中、それは起った。

なんと1新田真剣佑が実は1新田真剣佑ではないということが発覚してしまったのだ。


新田真剣佑の公表プロフィールと実際の身長が違ったのである。

んじゃ14.43amプールは14.43amプールじゃないし、21kamフルマラソンは21kamフルマラソンじゃないし、0.0143mamのなんか大人のアイテムは0.0143mamじゃないということになってしまった。


この一件で政府与党の人気に陰りが見え、こののち10数年ぶりの与党政権交代が成し遂げられることになり、新田真剣佑事件と呼ばれるようになったりするがこれはまた別のお話。

ああそうそう。Twitterも始めたんでよろしく。フォロワー(戦闘力)の少なさはピカイチだろうと思う。クリボーよりクリボーらしい、スライムよりスライム。逆に誇らしい…くねーか。

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