桜餅香る

2021年5月27日木曜日

寝れないときによむ小説

時々急に桜餅のにおいすることない?

ふんっと鼻孔をかすめるというか。桜餅が。

そういうとき、辺りを注意深く見まわしてみるもやっぱり桜餅がお供えされている様子はない。もちろん流れの桜餅屋さんが巡業していることも。

ではこの桜餅はどこからきた桜餅なのだろう。

ぼくの記憶の中の桜餅なのだろうか。それとも世界は、もしかしたら、ぼくが思っているよりずっと、ふっとしたときに桜餅が香るような、そんな不思議にまだ満ちているのだろうか。


……



ふと空を見上げて見る。

そこには大きなヒレのマンタがゆうゆうと泳いでいる。

そんな瞬間が桜餅。誰かにとってのマンタ。

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