自転車パンク修理と奥様

2021年8月12日木曜日

寝れないときによむ小説

自転車のパンクってあれ、なんでパンクするんだろう。パンク修理にかこつけてお客さんをお店にリピートさせるための自転車業界の闇なんじゃないかと思ってしまうくらいにパンクする。しかもある日突然。


先日、ある晴れた日の午後、そんな不運がぼくにも舞い降りてしまった。ぼくがちょうど近所のスーパーへ買い出しに行こうとしたちょうどその時だ。


……



いや、こんな詩的な雰囲気の文体書いてる場合じゃない。マジでほんとにすげーだるい、である。


「マジでほんとにすげーだるい」五七五。なってねーな。


最初はよくあるあれ。「あれ?空気抜けたかな?」ていうやつ。まだまだ疑ってない。悪しきパンクを。

空気さえ入れたら元通りでしょ、こんなもん、とどっしり構えてる。え、まさかパンクじゃないでしょ、え違うよね、っていうまだ9割パンクじゃないっていう清らかな気持ち。

んじゃみるみるうちに自転車のホイールが一回転するたびにガクン、ガクン、と地面とぶつかる音が露骨におしりをダイレクトアタックするわけ。


この間約2分。急性パンク過ぎて驚くおしり。清らかな気持ちなんて一瞬で霧散する。

んじゃもうおしりから脳に速達レベルの伝達がいって99%パンクに心傾く。残り1%は自分がいきなりめちゃめちゃ太ったかも、という可能性をまだ信じている。


いやマジで面倒すぎる。

パンク修理頼めばいいけど自転車持って行くのも暑くて面倒。もう自転車にまつわるすべての事象が面倒にみえてくる。なんにも悪くないカゴも面倒にみえてくる。


てことで自分で修理することに。

100均で自転車パンク修理セットを買って、近所の公園で直すかー、といざ直そうとすると、そういやなんにも持ってない。手には100均のパンク修理セットだけ。心もとない。


いや心もとない、ていう精神レベルの問題じゃなくてそもそも物理的に道具が揃ってない。パンク穴の個所を調べるための水を入れるためのバケツ、それからチューブを外すときに必要な六角レンチかペンチ、あとは空気入れ。なんもない。


…ん、はい、修理無理じゃん。

てのにこのタイミングで気づく。遅すぎるし、これまでもってた空気入れとか引っ越しの時に捨てたのが悔やまれる。なんたって買って2か月でパンクするとかこっちとしても心の準備ができてない。

こんなんほぼ出来ちゃった結婚レベルじゃん。


自転車のパンクと出来ちゃった結婚が奇妙な結びつきをもったところで、うだうだ言っててもしょうがないんでちょうど近所で水やりしてた奥様に話しかける。

話しかけてから思ったけどここ田舎じゃねーんだよな、つい田舎に住んでた時のノリ、というか近所の距離感で話しかけてしまって、「あ、やってしまった」と思ったけど、意外に田舎と変わらない奥様。

ものすごいやさしい奥様で本当に助かった。


「そのホースから入れた水をバケツにいれて貸してほしんです。」

「いいですよ、ちょっと待ってて」

「ありがとうございます!あ、あと空気入れもしあったら貸してください」


みたいなコイツ何者やねん、くらいものすごい図々しい感じで、お世話になってしまった。そうして無事直った自転車。なんだろう心なしかピッカピカにみえる。丁寧にお礼を言い、また何かあったら言ってちょうだいね、とまで言ってもらえて天使か何かかと思う。

いや何が言いたいかっていうと田舎とか都会とか関係ないっていう、なんかそういう、イイ感じの話になればいいかなーって。


自転車のパンク修理を通して、心温まるハートウォーミングストーリーが書けたらいいなーって。


……



うん、みなまで言わなくていい。ものすごいふてぶてしいやつが優しく親切な奥様からバケツに水にペンチに自転車空気入れを借りる。そんな不届きものが出てきただけだったね。国語の教科書に載りそう。いやねーか。

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